【帯状疱疹とは】
コロナ禍による心身のストレスから免疫力が低下して帯状疱疹を発症する人が増加しています。原因となる水痘・帯状疱疹ウイルスに対しては、成人の9割以上が抗体を持っていることから、既にほとんどの人が感染していると考えられ、誰もが帯状疱疹を発症するリスクがあります。
【発症時の症状など】
1、水ぶくれをともなう赤い発疹やピリピリとした痛みが、からだの片側に帯状に現れます。
2、痛みが徐々に増していき、日常生活や就労が制限されたり、夜も眠れなくなることがあります。
3、日本人の90%以上は、子どものときにかかった水ぼうそうの「水痘・帯状疱疹ウイルス」が体内(神経節)に潜伏しています。
4、加齢や疲労、ストレスによる免疫力の低下で、80歳までに3人にひとりが発症しています。
5、50代以降に発症した人のうち2割は、治ってからも辛い痛みが3か月以上続く帯状疱疹後神経痛(PHN)になっています。
6、頭部や顔面に帯状疱疹が出た場合、視力低下や失明、顔面神経麻痺などの重い後遺症が残る可能性があります。
7、糖尿病やがん、新型コロナウイルス感染後遺症など、免疫力が低下する病気にかかったり、病気の治療のために免疫を消失されると発症しやすくなります。
8、帯状疱疹は約6.4%に再発が認められます。
【予防と治療】
予防としては、できるだけ健康的な生活習慣を保つことが大切です。
食事のバランスに気をつけ、適度な運動と十分な睡眠を心がけましょう。
さらに、50歳以上の方については、ワクチンを接種することで発症予防、重症化予防が期待できるとされています。
治療の中心は、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬です。より早期の投与が効果的といわれていますので、痒みや痛みのあとに水疱が出現したりしたときは、できるだけ早く受診しましょう。
【帯状疱疹ワクチンについて】
帯状疱疹ワクチンは、現在2つの製品(シングリックス、ビケン)があり、効果や接種対象などに違いがあるので、ワクチンの効果や特徴、副反応の発生頻度、価格などを参考にご検討ください。
特に基礎疾患のある方は、主治医と相談の上で接種するワクチンをご検討ください。
種類 | 生ワクチン 乾燥弱毒生水痘ワクチン 販売名:ビケン | 不活化ワクチン 乾燥組換え帯状疱疹ワクチン 販売名:シングリックス |
ワクチンの 特徴 | 〇皮下注射 〇発症予防効果が中程度: 発症予防効果は50~59歳で69.8%、 60歳以上の方で51.3% 〇帯状疱疹後神経痛予防効果が中程度: 60歳以上での帯状疱疹後神経痛予防効果は66.5% 〇長期予防効果が低い: ワクチン接種後の予防効果は、1年目では67.5%、 2年目には47.2%、8年目には31.8%まで低下 〇副反応の発現率が非常に低い 50.6%に注射部位の腫れや痛みなどの副反応あり。 〇基礎疾患等により打てない場合がある 〇接種料が安価で、1回接種のみ | 〇筋肉注射 〇発症予防効果が非常に高い: 発症予防効果は50歳以上で97%、70歳以上で91% 〇帯状疱疹後神経痛の予防効果が非常に高い: 70歳以上での神経痛予防効果は85.5% 〇発症を長期に予防する: 50歳以上の成人試験で、10年以上は80%を超える有効性 〇副反応の発現率が高い: 注射部位の腫れや赤み、発熱や頭痛などの発現頻度が多い ・局所(注射部位)80.8% ・全身性(筋肉痛、疲労、頭痛など)64.8% 〇接種料が高価で、(2か月後から6か月以内)に2回接種が必要 |
帯状疱疹の発症が増加傾向にありますが、健康的な生活習慣とともにワクチンを活用して帯状疱疹の発症リスクを低減させましょう。
【東京都の補助事業について】
2023年度より接種費の個人負担軽減のため、帯状疱疹ワクチンの接種費を助成する区市町村への補助事業を実施しています。
区市町村長が行う、帯状疱疹ワクチン接種にかかる被接種者の実費負担額の軽減を図る事業に要する経費のうち、任意接種に要する経費及び本事業の周知等のために要する経費を、都から補助がでています。
接種医療機関、予診票、予防接種、手続きに関する相談等はお住まいの区市町村へお問い合わせください。
【外部リンク】
帯状疱疹 区市町村の情報ページ
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kansen/taijouhousin_information.html